「優先度は日々変わるけれど、週全体の見通しを立てておきたい」というジレンマを解消するには、必要最小限の“ざっくりした”枠組みと、日々見直して柔軟に修正するプロセスが重要です。以下に、その勘所とプロセスをステップごとに整理してみます。 --- ## 1. まずは「今週の全体像」を把握する 1. **カレンダーを確認する** - 会議やアポイント、外せないデッドラインなど、他者との約束が発生している時間帯をすべて洗い出し、カレンダーに入れます。 - この段階では、詳細なタスクはまだ落とし込まず、「動かせない予定(固定予定)」のみ明確にしておけばOKです。 2. **「ざっくり枠」を作る** - 「固定予定」以外の空き時間に、どの程度“まとまった作業時間”がとれるのかを把握し、仮のブロックを作ります。 - ここでは、まだ具体的なタスクの順番や優先度は決めすぎず、「火曜の午前中はクリエイティブ系の作業」「木曜の午後は資料整理や雑務」に当てる、程度の“ざっくりした枠組み”にとどめるのがポイントです。 3. **週のゴールや大きなテーマを決める** - GTDでも週次レビューの際に「今週はどの分野を前進させたいか?」を考えます。 - すべてのプロジェクトを同時に前進させるのは現実的ではないので、**今週注力したいプロジェクトや、クリアしたい大きめのタスク**を数個ピックアップし、ざっくりブロックへ配置をイメージしておきます。 ---- ## 2. 毎日の優先度変化への対応プロセス 1. **朝・または前日の夕方に「デイリープラン」をざっくり立てる** - GTDの「次に取るべき行動リスト(Next Actions)」や「プロジェクトリスト」を参照しながら、「今日できそうなタスク」「今日やっておいたほうが良いタスク」を確認します。 - 同時に、優先度に変化がないかもチェックします。「昨日までは優先度が高かったが、状況が変わって今日は後回しでもいい」というケースもあるので、常に最新の状況に合わせてタスクを並べ替える意識が必要です。 2. **“ざっくり枠”に対して、当日の実務タスクを割り振る** - 週はじめに考えた「ざっくりした作業ブロック」に、当日のタスクを当てはめてみます。 - たとえば「火曜午前はクリエイティブ系作業」としていたら、そこに該当しそうな具体的タスクをアサインします。ただし、無理にきっちり詰め込まないことが重要です。ある程度の余白を残しておくことで、急な対応にも柔軟に動けるようにします。 3. **優先度が変わったら即座に“ブロックごと”動かす** - 予定変更や緊急タスクが発生したときは、ただタスク順を前後させるだけでなく、必要であれば「ブロックの配置換え」も検討します。 - たとえば「木曜午後のブロックを前倒しして火曜の午後に持ってくる」といった形で“ざっくり枠”レベルでスケジュールを組み替えると、大きな混乱なく調整ができます。 4. **終業前・就寝前に「小さな振り返り」をする** - その日にできたこと、できなかったこと、優先度の変化の有無を簡単に振り返ります。 - 「明日やるべきタスクは何か」「まだやっていないけれど急ぎのものはあるか」を確認し、必要に応じて翌日の“デイリープラン”をざっくりアップデートしておきます。 ---- ## 3. ポイント・コツまとめ 1. **“がっちり計画”ではなく“ざっくり予定”にしておく** - 現代では案件や状況が目まぐるしく変わるため、あまりに厳密なスケジュールを立てても崩れやすいです。大枠だけでも週の見通しを立てるほうが、進めやすさと柔軟性のバランスを保てます。 2. **GTDの「インボックス」「次に取るべき行動リスト」の徹底** - GTDの肝は「頭の中にあることをすべて外に出し、信頼できるシステムに預ける」こと。日々の優先度の変化にも対応しやすくなります。 - タスク管理ツールやToDoリストをこまめに整理し、「次に取るべき行動」がいつでも明確になっている状態を心がけましょう。 3. **週次レビューで「ざっくり枠」の更新** - 週末や週初めに時間をとり、前週のざっくりブロックと実績の差をチェックします。「火曜午後に予定していた作業が実際には金曜にずれ込んだ」というズレがあれば、原因や背景を振り返り、次回の見通しをもう少し現実的に修正していきましょう。 4. **バッファをあらかじめ考慮する** - 予定は“詰め込めば詰め込むほど生産的になる”というわけではありません。緊急案件や突発の連絡対応が入る可能性は常にありますから、あらかじめ余裕を持ったスケジューリングを意識しておくと良いでしょう。 5. **「先延ばし」や「日々の細切れ時間」を意識して活用する** - 細切れ時間を使って小タスクを片づけられるようにすると、急な優先度変化にも対応がしやすくなります。ブロック時間が崩れた場合にも、まずは細かいタスクを進めておくことで生産性を維持できます。 ---- ## 4. まとめ - **週のはじめ(あるいは週末)**に、カレンダーと照らし合わせながら「固まっている予定」「使える時間ブロック」を把握し、ざっくりと今週のゴールや重要タスクを配置しておく。 - **日々(朝・または前日の夜)**に、優先度の変化をチェックしながら実際に進めるタスクを選別し、その日のブロックに落とし込む。緊急案件やスケジュール変更があれば、フレキシブルにブロックごと動かす。 - **週次レビュー**で計画と実績のズレを振り返りつつ、翌週以降の“ざっくり枠”をより現実に合うように微調整していく。 これらを繰り返すことで、「計画はバッチリ立てたいけれど、実際はすぐに変更が生じる」というストレスが減り、毎週の仕事をスムーズに進めやすくなります。あまり細部まで決め込まない“ゆるい計画”と、日々の柔軟な見直しという組み合わせが、現在の変化の速い時代にはフィットしやすい方法と言えます。