#### デザインの変遷とその背景
現代において、プレゼンテーションの重要性が高まるにつれ、デザインに対するアプローチも変化してきた。かつては造形的に複雑なデザインが好まれたが、時代の流れとともに、より単純化された形状へと変わっていった。これは、水彩画からペン画への移行に例えられるように、質の変化ではなく、表現の形式が変わったことを意味する。デザインのクオリティを直接比較することは難しく、異なる種類の価値を提供するようになった。
#### デザインの価値観とストーリー
デザインは、レバレッジの原理を活かし、小さなシンボルで大きな価値観やストーリーを伝える手段へと進化した。これは金融商品が少ない資金で大きな取引を可能にする仕組みに例えられる。過去に広告業界で追求された「マスターピース」を作る熱量と比較すると、現代のデザインはストーリーの重要性が強調されており、テンプレート化されたデザインが増えていると感じられる。
#### プレゼンテーション能力の重要性
1990年代末から2010年頃の日本のデザイナーにおいて、インターネットの普及とともにストーリーを発信できる環境が整い、デザイナーはプレゼンテーション能力を磨くようになった。時代の気分に合った記号とそれに付随するストーリーを磨くことが求められ、プレゼン能力のウェイトが増していった。制作プロセスを公開する機会が増えたのも、制作物の背景にあるストーリーが商品価値を高める時代の流れを反映している。
#### 結論
デザイナーとストーリーの関係は、時代の変化とともに進化してきた。デザインの形式が単純化される一方で、プレゼンテーション能力とストーリーテリングの重要性が高まり、デザイナーには異なる種類の価値を創出する新たな役割が求められている。これは、単に視覚的な魅力を提供するだけでなく、より深いメッセージや物語を伝えることで、受け手により大きな影響を与えることを意味している。
#### 考察メモ
- 大貫卓也さんは設計面、クラフト面でとても綿密に行なっていた
- 佐藤可士和さんあたりから、クラフト面がシンプルになり、ストーリー面が重視されるようになった
- 赤、青、黄とSMAPがあれば良い、ぐらいのシンプルさ
- SMAPという圧倒的ナラティブがあるからなせる技
- ただ、そこからの拡張性が半端ない
- 今の時代はその延長線。SNSでデザイナーが発信するのもそうすることでシンボルにバフがかかるから。
##### ここから考察
- AIが出てくることで、その流れはまた変わるのでは
- 圧倒的クラフト力を見せられるようになる
- ただ、そこにナラティブがないと人には刺さらない
- 圧倒的クラフト力+ストーリーを上手く融合できた人が次の流れを作り出せる?
[[📖デザインの仕事]] P78