デザインとは、本質的には既存の進化の過程を意図的に、そして加速的に変化させる行為である。自然界では、例えばありの巣の形成のように、環境に適応して徐々に進化し、変化していくプロセスが見られる。これに対して、デザインは人間の意図に基づいて即座に環境や物体を変化させることを目指す。ありの巣を設計する建築家は存在しないが、これは自然界のシステムが既に最適化された形で存在し、その進化は長い時間をかけて成り立っていることを示している。
デザインの行為は、その即時性と意図的な変化において、自然進化のゆっくりとしたペースとは対照的である。しかし、この違いはデザインが自然進化に反するものではなく、むしろ人間が自然界の原理やメカニズムを理解し、それを活用して意図的に環境や物を変化させる試みとも解釈できる。デザインは進化の過程を強制的に変化させるが、その本質は創造と改善にあり、自然界の進化とは異なる形で価値を生み出す。
[[📖リーダーシップ進化論]] P34