#### 概要
ドキュメント制作(DC)は、問題解決と深く関連している。ドキュメントの質は、その制作過程における「問題解決力」の有無に大きく左右される。本稿では、ドキュメント制作における問題解決の重要性を3つの事実を通じて説明する。
#### 事実1: 問題解決意識の欠如
問題解決への意識が低いと、ドキュメントはその価値を失う。作り手がドキュメント制作の本質、「問題解決を伝える」ことを見失うと、「何が言いたいのか分からない」ような質の低いドキュメントが生まれがちである。このような状況は、単にドキュメントを「作ること」自体が目的化してしまった結果である。
#### 事実2: 方法論の理解不足
問題解決の方法論を理解していない場合、質の高いドキュメントを作成することはできない。ドキュメントは問題解決のプロセスを伝える手段であるため、その方法論をドキュメントに反映させることが不可欠である。方法論がうまく反映されないと、読み手の理解と行動につながりにくくなる。
#### 事実3: 問題解決の質の低さ
問題解決そのものの質が低いと、ドキュメントの価値も低下する。例えば、的を射ていない、平凡、些細な問題解決案では、いくら表現技巧を凝らしても価値ある成果を生み出すことはできない。立派な包装紙で包んでも中身が貧弱な商品は評価されないのと同様である。
#### 結論
以上の3つの事実から、ドキュメント制作は単なる情報の伝達手段以上のものであり、根本的には問題解決プロセスの一環であることが理解できる。ドキュメント制作においては、問題解決への深い洞察と方法論の理解が不可欠であり、これによって最終的にはドキュメントの質だけでなく、問題解決の質も向上する。本書では、ドキュメントを問題解決を伝えるための手段として捉え、その前提に基づいて解説を進めることとする。