#### 1990年代のソフトウェアデザイン
1990年代におけるソフトウェアデザインは、インタラクションデザイン(UXデザイン)とビジュアルデザイン(UIデザイン)の二つに分けられていた。インタラクションデザインは「構造」を、すなわちワークフローやワイヤーフレームを扱い、ビジュアルデザインは「外観」を、すなわちレイアウト、色、タイポグラフィ、アイコン類を担当していた。ビジュアルデザイナーは主に印刷デザインの背景を持ち、インタラクションデザイナーはヒューマン・コンピュータ・インタラクションの知識を有するコンピュータ科学の背景か、デザイン教育を受けていないがシステムや構造についての深い理解を持つ者であった。
#### ソフトウェアデザイン・ネイティブの台頭
その後、ソフトウェアデザインの分野においては、構造と外観の両方にスキルを持つ次世代のデザイナーが登場した。これらのデザイナーは、高校や大学で技能を磨き、今では両方のスキルを教える立場にある。しかし、多くのデザインチームでは未だに古い分類を続けており、これが多様なスキルを持つデザイナーにとっては窮屈に感じられることもある。
#### プロダクトデザイナーという用語
シリコンバレーを中心に、ソフトウェアデザイナーは現在「プロダクトデザイナー」や「デジタルプロダクトデザイナー」と呼ばれることが一般的になっている。この新しい呼称は、製品の時代からサービス重視の時代への移行を反映し、業務の幅広さをより正確に表現している。プロダクトデザイナーは、インタラクションデザイン、ビジュアルデザイン、時にはフロントエンド開発までをカバーするが、すべてのスキルに秀でた人材は稀であり、「ユニコーン・デザイナー」と称されることもある。
#### プロダクトデザイナーの役割
プロダクトデザイナーという総称を使用することで、チームメンバーは自らの成長を促し、力を最大限に発揮することが可能になる。デザイナーは自身の弱点を強化する意欲を持ち、他の企業メンバーも固定観念に囚われず、広い視野での期待を持つようになる。ただし、この用語が工業デザインの文脈で物理的な製品をデザインする人を指す場合もある点には注意が必要である。
[[📖デザイン組織のつくり方]] P87