#### 工業製品と農業の機動力 工業製品と農業は、市場対応において大きな差がある。工業製品は、需要の変動や市場の動向に応じて、生産ラインの調整や新しい製品の開発が可能であり、相対的に高い機動力を持っている。この機動性により、製品が市場での競争力を失い始めた際には、迅速に次の製品へと移行することができる。 #### 農業の機動力の制約 一方で、農業は自然のサイクルと密接に結びついており、作物の生産計画や収穫量の調整には時間がかかる。また、市場の急激な変化に対して柔軟に対応することが難しく、需要と供給のバランスを取ることが最悪の場合、困難になることがある。 #### ITサービスの圧倒的な機動力 ITサービス業界では、この機動力の差はさらに顕著になる。ITサービスは、物理的な製品を生産する必要がなく、ソフトウェアの更新や新しいサービスのリリースが迅速に行える。この特性は、[[MVP]]やプロトタイプという概念と相性が良く、市場のニーズに合わせて製品を素早く調整し、改善していくことが可能である。このように、ITサービスは市場の変化に対して圧倒的な速度で反応できるため、新しい技術やサービスのテスト、展開が効率的に行える。 #### 結論 工業製品は農業に比べて機動力が高いが、ITサービス業界における機動力はそれらを遥かに上回る。この機動力の高さが、ITサービスが[[MVP]]やプロトタイプを用いた開発手法に適している主な理由であり、市場の変化に迅速に対応することを可能にしている。 [[📖現代経済学の直観的方法]] P128