原典は[こちら](https://note.com/w_morita/n/n9d495713e0ef)
## 承継時の状況と心理的背景
成長中の企業を承継する場合、既存社員との関係構築が最優先課題となる。経営者交代は社員にとって不安と懸念を引き起こすが、特に業績好調な企業では「なぜ変える必要があるのか」という疑念が強く生じる。このような状況では、外部から来た新経営者は「敵ではない」ことを言語・非言語両面から伝え、信頼の基盤を築く必要がある。[[マネジメントの本質は人材資源の最大活用にある]]に通じるこの考え方は、特に順調な成長を続ける企業においては、不必要な混乱を避けるために重要である。
また、新経営者は着任直後に自身の優秀さを証明しようとする誘惑に駆られるが、これは逆効果になる。社員が最も懸念しているのは「この人は自分に害を及ぼさないか」という点であり、新経営者の能力よりも安全性のほうが優先される。[[上司のスタイルに適応し初期の成果を出すことがベンチャー企業での成功の鍵]]だが、それは特に業績が好調な企業では、まず既存の体制との調和から始まる。
## 変革を急がない判断
### 既存営業部門への大幅な権限移譲
成長企業ではすでに効果的な営業体制が確立されていることが多い。営業部門が成功の要であり、特に売上が順調に伸びている場合、その仕組みを尊重し、新経営者は関与を最小限にとどめることが賢明である。[[プロジェクトマネジメント]]の視点から見ても、うまく機能しているプロセスへの不必要な介入は避けるべきである。
新経営者は投資判断や経営方針といった重要決定については関与するものの、日常的な営業活動への干渉は避け、実績を出している部長陣のリーダーシップを最大限尊重する姿勢が重要となる。[[変化に柔軟に対応するためには、ルールをある程度に留め、自主性を重んじることが重要]]であり、この原則が特に順調な企業の承継時には適用される。
### 組織構造や人事制度の大幅変更の抑制
組織構造と人事制度は「社員の日々の働き方」そのものであり、これを拙速に変更することは、「大きく変えるつもりはない」という約束と矛盾する。[[組織設計の適切性がプロダクト品質を直接左右する]]が、まずは現状の構造がどのように機能しているかを深く理解することが先決である。初年度は必要最小限の変更にとどめ、懸念が明らかな部分のみ手を付ける姿勢が、社員の信頼獲得につながる。
### 外部幹部人材の採用見送り
落下傘社長が外部から信頼できる人材を連れてくることは一般的だが、これも既存社員の反発を招く恐れがある。「会社の成長に貢献していない上司がさらに増える」という心理的反発は想像以上に大きい。[[人材マネジメントは6つの要素から構成され、効果的な運用が組織の成功につながる]]ため、幹部人材の追加は慎重に行うべきである。
内部昇格の可能性を探り、既存社員の中から新しい役割を担える人材を発掘することは、組織の一体感を高め、成長機会を提供するという点でも有益である。これは[[仕事における自信は好きという感情から生まれ、それが持続的な成長を支える]]原則に沿った判断といえる。
## 実際に取り組んだ施策
### 管理会計と経営会議の整備
営業には