[[戦略]]策定には、大きく分けて二つのアプローチが存在する。一つは、あらかじめ定められたグランドデザインに基づいて計画を進める方法であり、もう一つは、その場の事実や状況に応じて戦略を決定していく方法である。これらのアプローチに共通して重要なのは、情報に基づいた柔軟性である。 ### グランドデザインに基づく戦略 この方法では、事前に策定された大規模な計画や原理に従って行動を進める。長期的なビジョンや目標を持ち、それに基づいて具体的な計画を立案する。しかし、このアプローチの効果を最大化するためには、外部環境の変化に対して計画を柔軟に修正できる能力が求められる。 ### 事実ベースの戦略 一方、事実ベースのアプローチは、その場の状況や手持ちの情報に基づいて戦略を決定する。この方法では、状況の変化に迅速に対応し、場当たり的な解決策を模索することが特徴である。特に不確実性が高い状況下では、この柔軟な対応が効果的であることが多い。 ### 日本軍の事例 日本軍の戦略策定における事例を見ると、グランドデザインよりも現実の状況から出発し、その場その場での事実に基づいた対応を得意としていたことがわかる。しかし、参謀本部作戦部における情報軽視や兵站軽視の傾向が見受けられることから、科学的方法とは無縁の、独特の主観的なインクリメンタリズムに基づく戦略策定が行われていたことも明らかである。 この事例から学ぶべきは、いずれの戦略策定方法も、情報の収集と分析、そしてその情報に基づく柔軟な対応の重要性である。客観的事実の尊重と結果のフィードバックを重視することが、特に不確実な状況下での効果的な戦略策定に繋がると考えられる。 ### 参考 [[📖失敗の本質]] P336