[「権力は腐敗する」ゴーン元社長の日産「組織変革の8ステップ」に足りなかったこと | ゴールドオンライン](https://gentosha-go.com/articles/-/50019) ### カルロス・ゴーンによる日産の組織変革の概要 カルロス・ゴーン元社長の下での日産の組織変革は、ジョン・P・コッターの提唱する「組織変革の8ステップ」に基づいて行われました。これらのステップは、1999年から2000年にかけての日産の経営危機を乗り越えるための具体的な行動指針を提供しました。変革の成功は、社内外に危機意識を喚起し、迅速な利益改善を実現したことによります。 ### ゴーンの組織変革の8ステップ 1. **危機意識の醸成**: 日産が史上最大の赤字を計上したことを受け、社内外に危機感を植え付ける。 2. **連帯の形成**: 優秀な課長クラスを中心にクロスファンクショナルチームを組織。 3. **ビジョンと戦略の策定**: Nissan Revival Plan (NRP) を策定し、中期経営計画に反映。 4. **ビジョンの周知**: NRPをゴーン自らが公表し、達成へのコミットメントを示す。 5. **自発的参加の促進**: 社内の積極的な提言を募り、迅速な意思決定と実行を進める。 6. **短期的成果の追求**: 目に見える成果を早期に達成し、改革の正当性を証明。 7. **長期的変革の推進**: 早期達成した目標を基にさらなる中期計画「日産180」を開始。 8. **新たな企業文化の創出**: 成果に基づくコミットメント経営へと企業風土を一新。 ### 権力の腐敗と継続的改革の必要性 ゴーンの長期にわたる権力は最終的に腐敗し、不正行為が発覚してしまいました。これは、改革が一度の成功で終わるのではなく、継続的に取り組む必要があることを示しています。ゴーンのケースでは、長期にわたる権力の集中が結果的に不正を引き起こす土壌を作り出してしまったと言えます。 ### 中村邦夫によるパナソニックの改革 パナソニックの中村邦夫元社長もまた、松下幸之助の「[[水道哲学]]」に基づいた独立性の強い事業部制を破壊し、「破壊と創造」の名の下に組織変革を断行しました。この改革は、過去最悪の赤字からの回復という形で結実し、最終的には業績を持続的に向上させる基盤を築きました。 ### 危機意識の持たせ方 パナソニックでは、中村元社長がストーリーテリングを活用して危機意識を社員に植え付ける方法を取り入れました。具体的なエピソードの共有や、売上や利益のデータに基づく未来予測を用いて、改革の必要性を訴えました。 ### まとめ ゴーンによる日産の改革と中村によるパナソニックの改革は、それぞれ組織変革の成功例として挙げることができます。しかしながら、権力の集中と腐敗のリスク、そして改革の継続的な取り組みの重要性も、これらの事例から学ぶべき重要なポイントです。