#### 人間の知覚能力と文化的記号体系
人間は生物学的な素質を持っており、これにより文化的な記号体系を精密に構築することが可能である。生物学的な素質とは、脳の構造や機能が生まれつき備わっている特性を指す。この生物学的基盤の上に、文化が形成される。
#### 脳の発達と社会的影響
脳の発達は、その人が育つ社会の文化的背景や教育、さらには成長過程での化学現象やホルモンの影響を受ける。これにより、知覚や認識の仕方が形成され、文化的な理解に影響を及ぼす。
#### 色の文化的意味
視覚的には赤は青よりも目立つが、赤という色が持つ特定の意味や用途(例えば情熱の色としての認識)は文化によって異なる。このように、色の知覚は普遍的な特性を持つが、その解釈は文化によって大きく左右される。
#### 文化的コードの具体例
- **ビジュアルデザイン**: 最も単純なビジュアルデザインにおいても、図像や文字の使用には多くの文化的コードが存在する。
- **ポートレート**: 一般的なポートレートの構図は胸の途中から上である。
- **算数**: 数字の足し算は上下に重ねて行うのが通例である。
- **地図**: 川は通常、青色で示される。
- **表現の慣習**: キスの写真では女性が頭を後ろに倒すことが多い。
- **座標軸**: x軸は左右に伸び、y軸は上下に伸びる。
これらの文化的コードは、経済、絵画、教育、衛生上の必要性や論理に基づいて形成されるが、制作者と消費者の間の専門知識の差異により、受け取り方に違いが生じる可能性がある。制作者は専門的な訓練を受けているが、消費者はその成果物を直接受け取るだけである。
[[📖ビジュアルデザイン論]] P26