### 概要
自社のコア技術を外注に依存することは、品質管理やコスト管理の能力低下を引き起こし、長期的に企業の競争力を低下させる可能性がある。
### 品質管理能力の低下
自社で技術開発を行う場合、プロセス全体を把握し、品質管理の基準を設定し、継続的な改善を行う能力が必要である。外注に依存すると、これらのプロセスが外部の組織に委ねられ、内部での品質管理能力が鈍化する。結果として、最終製品の品質に対する直接的なコントロールが減少し、品質の不一致や問題が生じやすくなる。
### コスト管理の失敗
外注先との契約では、コストが予め固定されることが多い。しかし、プロジェクトの要件が変更された場合や予期せぬ問題が発生した場合、追加費用が発生することがある。自社で技術開発を行っていれば、柔軟に対応し、コストを抑制することが可能であるが、外注に依存しているとこのような対応が難しくなる。長期的には、外注によるコストが内製よりも高くつく可能性がある。
### 企業の競争力低下
コア技術は企業の競争力の源泉である。これを外部に依存することで、技術開発のスピードやイノベーションの能力が低下し、市場での優位性を失うことにつながる。また、コア技術に関する知識やスキルが社内に蓄積されず、将来的に自社で新たな技術を開発する能力が低下する恐れがある。
### 結論
自社のコア技術を外注することは、短期的にはコスト削減やリソースの有効活用といった利点があるかもしれない。しかし、長期的には品質管理能力の低下、コスト管理の失敗、企業競争力の低下といったリスクを伴う。したがって、企業は自社のコア技術に関しては内製を優先し、外注は慎重に検討するべきである。
[[📖トヨトミの逆襲]] P306
> もともと、トヨトミは「自前生産」にこだわりのある会社である。一九九七年の初代プロメテウス発売時、このクルマに搭載する電子部品の開発・生産を自社で行うことにトヨトミは強くこだわった。グループ企業とはいえ、コアになる部品の製造を完全に任せてしまえば、トヨトミの開発力は落ち、部品の品質やコストを見極める能力も残らないとの判断だった。グループ内での受け持ちの最適化、つまり「適材適所」にはリスクも伴うことがわかっていたのだ。