📖良い戦略、悪い戦略 P18

戦略と目標設定の混同という根本的問題

多くの組織において、戦略と単なる目標設定が混同されているという問題がある。大学の合格率向上や美術館の来館者増加といった目標はチームの力を引き出すエンジンであるが、それ自体は戦略ではない。戦略の不在は組織の競争力を損なう根本的な原因は、この混同にある。

高度な戦略策定プロセスを持っていると主張することと、実際に効果的な戦略を持つことは全く異なる。戦略策定におけるグランドデザインと事実ベースの柔軟性が必要であり、願望と行動の間にあるギャップを埋める具体的な道筋を示すことが戦略の本質である。戦略の実行にはフレームワークの定義と実践が不可欠であるのは、まさにこの理由による。

悪い戦略の典型的パターン

悪い戦略には明確な特徴がある。最も顕著なのは戦略と目標を混同していることである。目標は計画ではなく方向性であるという基本的な理解が欠如しているとき、組織は市場シェアや利益率といった表面的な数値目標を戦略と勘違いしてしまう。

さらに問題なのは、実行における具体性が完全に欠落していることである。タスクの初期モメンタムを活かし、ネクストアクションの設定により持続的な進捗を実現できるという実行面での具体的な計画がなければ、効果的な仕事の進め方は環境整備とタイムマネジメントが鍵であるにもかかわらず、実行可能な形で示されていない戦略は、単なる願望のリストに過ぎない。

良い戦略の構成要素

イシューの見極めが問題解決と価値創造の出発点となるのは、問題の本質を捉えることの重要性を示している。良い戦略には以下の要素が含まれている必要がある:

問題の明確な定義

問題解決の第一歩は、現状の全体像を可視化し、注意を向けることから始まる。戦略とは組織が直面しているギャップ解決を中心とした仕事の哲学は、全てのビジネス活動の基盤となるという認識に基づいて構築される。現状の問題を正確に把握し、その本質を理解することが良い戦略の出発点となる。

実現可能な解決策の提示

過去の失敗パターンを分析し、判断の正誤よりも行動による検証と改善が重要であるという姿勢で、実現可能な解決策を提示することが重要である。コントロール可能な要素に焦点を当てた現実的な計画立案が重要であり、願望ではなく実行可能な計画を立てることが求められる。

具体的な行動指針

タスクの準備段階における見通しの重要性が作業効率と成果の質を決定づける。良い戦略は明確な行動指針を含み、方針は目標達成のためのアクション選択基準であり、チームを動かす指針となる。実行段階で何をすべきかが明確に定義されていることが不可欠である。

戦略立案における陥りやすい罠

多くの経営者が陥る罠は、戦略は適度であるべきであり、過剰な計画は失敗を招くということを理解していないことである。業績目標を立てることと、それを実現するための戦略を立てることは全く異なる活動である。

プロジェクトには「仮説立案・合意フェーズ」と「仮説検証・評価フェーズ」があり、仮説立案が最も労力がかかるが、多くの組織はこの仮説立案を目標設定で代替してしまう。仮説を立てるには想像力と直感が必要であるにもかかわらず、数値目標の設定だけで満足してしまうのである。

効果的な戦略策定への道筋

戦略とは戦略とビジョンによる組織の動かし方を具体化したものであり、単なる大学合格率の上昇や美術館来館者の増加といった願望ではない。経営の意思は戦略策定の核心であり、明確な方向性を示すことが重要だが、それは具体的な実行計画と一体でなければならない。

欠陥のある戦略から脱却するためには、クラウゼヴィッツの戦略策定の基本スタンスは全体的視点と実現可能性を重視するという原則に立ち返る必要がある。実行すべき内容が明確に含まれている戦略こそが、組織の成長に伴い政治力が重要になるのは、意思決定の複雑化と人間の認知限界によるものであるという現実の中で、組織を正しい方向へ導くことができるのである。

良い戦略はビジネスモデルを起点とした事業戦略の構築が成功への近道であるという認識の上に立ち、実行面での具体性を持つ。それは実行すべき内容を明確に示すだけでなく、プロジェクトの成功は目的達成への集中と実行に専念することで実現されるという実践的な知見を含んでいる必要がある。