[原典はこちら](https://speakerdeck.com/tumada/2024-nian-nosutatoatupunoshi-mefang-kao-efang?slide=7) ## 資金調達の規模と速度の違い ### 資金調達の増加 従来のスタートアップに比べ、2024年のスタートアップは資金調達の規模が大幅に増加している。2013年の日本の資金調達総額は907億円であったが、2022年には9664億円に達し、約10倍の増加を見せた。このような増加はスタートアップにとって資金の調達がより容易になり、急成長を可能にするための大きな資金を確保する手段が増えたことを意味する。 ### ファンドの拡大 従来のスタートアップファンドは、規模が小さく、50億円程度のファンドが主流であったが、2024年には500億円規模のファンドも珍しくない。これにより、投資対象となるスタートアップの規模や期待される成長速度も大きく変わり、ユニコーン(時価総額1000億円)を目指すだけでなく、デカコーン(時価総額1兆円)を目標とするスタートアップが増えている。 ## 市場と戦略の違い ### 市場の変化 従来のスタートアップは、主にB2C市場をターゲットとしていたが、2024年のスタートアップは、SaaS、エンタープライズ、バーティカル市場など、多様な市場に進出している。特に、2010年代後半からエンタープライズ市場やバーティカル市場へのシフトが顕著であり、これに伴い、スタートアップの戦略も大きく変化している。 ### 戦略の重視 従来のスタートアップは、短期間での急成長を目指し、迅速な市場参入を重視していた。しかし、2024年のスタートアップは、長期的な戦略や計画を重視し、未来から逆算するバックキャスト戦略を採用することが増えている。これにより、スタートアップは、短期的な利益だけでなく、持続可能な成長を目指すことが求められている。 ## 戦術と方法論の違い ### 6W1Hの考え方 従来のスタートアップは、「Whom(顧客)」と「What(事業内容)」に集中していたが、2024年のスタートアップは、「Where(市場)」、「Who(チーム)」、「Why(ミッション)」、「When(タイミング)」、「How(戦略・戦術)」も含めた6W1Hの考え方を取り入れている。これにより、スタートアップは、より包括的で戦略的なアプローチを採用し、市場の変化に迅速に対応することが可能になっている。 ### M&Aやパートナーシップの活用 従来のスタートアップは、主に自力での成長を目指していたが、2024年のスタートアップは、M&A(合併・買収)やパートナーシップを活用することで、迅速な成長と市場拡大を目指している。特に、既存企業からのスピンオフや、大企業との連携を通じて、リソースやノウハウを活用することが増えている。 ## 経営と運営の違い ### 資源の調達と活用 従来のスタートアップは、限られた資源を最大限に活用することが求められていたが、2024年のスタートアップは、豊富な資金とリソースを活用し、より大規模な事業展開を行うことができる。特に、人的資源の採用と継続、物的資源の調達、様々な種類の資金調達方法の活用が重要となっている。 ### 戦略的な課題解決 従来のスタートアップは、目の前の課題解決に集中していたが、2024年のスタートアップは、戦略的な課題解決を重視し、長期的な視点での成長を目指している。これにより、スタートアップは、単なる問題解決ではなく、大きな市場やグローバルな課題に対する解決策を提供することが求められている。 ## まとめ 2024年のスタートアップは、従来のスタートアップと比較して、資金調達の規模と速度、市場の多様性、戦略と戦術の包括性、資源の活用方法など、多くの点で異なっている。これにより、スタートアップは、より大規模で持続可能な成長を目指し、グローバルな課題に取り組むことが可能となっている。従来のスタートアップが短期的な急成長を目指していたのに対し、2024年のスタートアップは、長期的な視点での成長と持続可能性を重視している。