概要

遠山氏は、マルクス主義の一派である「講座派」の観点から、日本の近代史を分析する論者である。彼によれば、明治維新は絶対主義権力の誕生をもたらし、日本の歴史は絶対主義を打倒しようとするブルジョワ王主義革命が実現しなかった歴史であるとされる。遠山氏は、1945年の敗戦後、絶対主義批判の政治的・学問的確立が可能になったとし、今後の課題として、政治的には民主主義革命の進展、学問においては自由の保持を掲げる。

マルクス主義の段階論的歴史観

段階社会の特徴主な支配階級社会の変革
アジア的専制古代社会集権的な専制支配専制君主-
封建社会土地を基盤とした分散的支配封建領主-
絶対主義社会集権化された土地支配と特権商人の台頭絶対主義君主と特権商人土地支配を基盤とするが、本質は封建社会
近代ブルジョワ社会市民革命による封建的支配層の打倒ブルジョワジー(資本家階級)ブルジョワ階級による市民革命
社会主義社会ブルジョワジーとプロレタリアの階級闘争の結果プロレタリア(労働者階級)プロレタリアによる社会主義革命

マルクス主義では、歴史は一定の段階を経て発展するとされる。社会はアジア的専制古代社会、封建社会を経て、絶対主義の体制に移行する。この段階では、土地支配を基盤とする絶対主義君主と特権商人が支配するが、その本質は封建社会であるとされる。対して、集権化した封建制に抗しつつ成長するブルジョワ階級は、近代市民革命を通じて封建的支配層を打倒し、近代ブルジョワ社会を築く。しかし、ブルジョワ社会内ではブルジョワジーとプロレタリアの階級闘争が進行し、最終的にはプロレタリアによる社会主義革命が到来し、社会主義社会が誕生すると見られている。

遠山氏の見解と課題

遠山氏は、このマルクス主義の段階論的歴史観に基づき、明治維新以降の日本を絶対主義の視点から批判する。彼は、明治維新が絶対主義権力の誕生をもたらしたと見なし、その打倒を目指すブルジョワ王主義革命が実現されなかった歴史と分析する。そして、1945年の敗戦後に絶対主義批判が可能になったとして、政治的には民主主義革命の進展、学問的には思想の自由保持への努力を今後の課題として提示している。遠山氏の立場は、マルクス主義の段階論に根ざした歴史解釈によって、日本の近代史を独自の視点から分析し、未来への方向性を提案するものである。

📖明治国家の建設 P13 マルクス主義が大正後半期以降の知識人に与えた影響