働く大人の「アイデンティティ」の悩みと処方箋 | CULTIBASE

1. アイデンティティ発達の背景

現代において、従来の会社中心のキャリア観から人生中心のキャリア観へのシフトが進んでいる。安斎は、「自分の人生をどう生きたいのか」「自己実現をどう探究するか」が重要なテーマであると述べる。組織や個人レベルで「何のために働くのか?」という仕事の意味が再考されており、組織と個々の自己実現を両立することの重要性が強調されている。

2. アイデンティティと自己実現

アイデンティティの課題は、個々の自己実現の探究と深く結びつく。自己実現とは「自分の潜在的な動機や能力を最大限に活かして、それが他者・社会貢献につながっている状態」である。しかし、外的価値と内的動機のバランスを取るのは難しく、多くの人が試行錯誤を繰り返す。

3. エリクソンのアイデンティティ発達理論

エリクソンはアイデンティティを「自分の内部に連続性と斉一性を感じ、他者がそれを認めてくれることの両方の自覚」と定義している。青年期にアイデンティティ確立が盛んである一方、成人期以降は「関係性に基づくアイデンティティ」が中心テーマとなる。

4. 成人期以降のアイデンティティの発達課題

成人期には「親密性vs孤立」や「世代性vs停滞」などの課題があり、個人だけでなく家族や組織との交流を通じたアイデンティティの発達が重要である。成人期以降はアイデンティティの再統合が必要であり、中年期や老年期においてもアイデンティティの危機が訪れる。

5. アイデンティティ・ステイタスの4象限

成人期のアイデンティティ・ステイタスは、アイデンティティを見直すか否かと統合or模索の軸で「活路獲得型」「模索・探索型」「現状維持・保守型」「漂流型」に分類される。前向きなアイデンティティの探索ができていない人に対する処方箋として、キャリアカウンセリングや友人の力を借りることが推奨される。

6. 中年期のアイデンティティ再体制化

「中年期のアイデンティティ再体制化」の4ステップは以下である。

  1. 身体感覚の変化を認識し、
  2. 人生を振り返って方向性を検討、
  3. 軌道修正を行い、
  4. アイデンティティを再確定する。

このプロセスを支援するために、回顧と展望の作成や、ありたい姿の実現方法の支援が重要である。

まとめ

現代の働く大人にとって、アイデンティティの発達と自己実現は重要な課題である。外的価値と内的動機のバランスを取ることが難しく、アイデンティティの再統合が必要な局面が多い。キャリアカウンセリングや周囲の支援を活用し、自己実現を探究し続けることが求められる。