2026-09-10
2026-09-11

Astraとimage2.5が登場して、ついにこれから仕事がなくなるのではないかと思った。そのくらい、もう任せられる印象になっている。(まだ手放しでは任せられないが、今のペースならその日も近い)

画像、動画、UI。デザインと、それに関わるさまざまなものを、プロに頼まなくても作れてしまう。AIで作れる範囲と、その出来上がりを考えると、この勢いが続いた先で、自分たちへ依頼する必要がどれほど残るのかが気になる。

必要なものを形にすることには、これからも意味がある。それを必要とする人もいる。その人が自分で作れるようになったとき、作ることを仕事にしてきた人は、何の対価を受け取るのだろうか。

この論稿では、専門家に依頼せずに必要な品質のものを作れる領域が、このまま広がっていくと仮定する。現在どこまで自動化できるかは、業務や利用者によって異なる。その違いを踏まえたうえで、さらに進歩した先の仕事について考えたい。

制作を仕事として成り立たせていた条件がどう変わるのかを考えると、AIを使う能力に加え、事業、雇用、契約のあり方も問われる。

ちょっと前までは自分で作るより、頼む方がよかった

専門家に仕事を頼む理由の一つは、自分で実現するには負担が大きいことだった。

例えば、店のサイトを作るとする。何を掲載するかを考え、文章と画像を用意し、画面を設計し、実際に動くようにする。自分で取り組むなら、必要な知識や技術を学び、時間をかけて作り、うまくいかない箇所を調べなければならない。その時間を店の営業に使う方がよいと判断するから、制作を依頼する。

作り手は、それまでに学んできたことや積み重ねた経験を使い、その負担を引き受ける。顧客は、品質、納期、失敗の少なさ、依頼先への信頼も含めて価格を判断する。こうした購入理由とともに、自分で実現することの難しさが、専門家への依頼を支えていた。

AIと話すだけで必要なサイトができ、その後の修正も自分で済ませられるなら、外注する利点はどれほどあるのか。依頼のために要望を整理し、説明し、見積もりを待ち、修正を伝える時間も含めると、自分で作る方が都合のよい場面が増えるかもしれない。

専門家が技術の習得に何年もかけたとしても、顧客は今使える方法の費用や負担を比べて選ぶ。同じ結果をAIで安く得られるなら、長い経験を持つ専門家に高い料金を支払う理由は弱くなる。

能力の価値を本人の努力だけで考えると、この変化は理解しにくい。依頼する側に、ほかにどのような選択肢があるかまで含めて考える必要がある。

作れる量と、依頼される量

AIを使えば、作り手も短時間で多くのものを作れるようになる。同時に、発注する側にも新しい選択肢が生まれる。この両方が、専門家の仕事量に影響する。

まず、制作を提供する側で、一件の仕事に必要な人数や時間が減る。これまで分担していた画像、文章、UI、実装を、一人とAIで扱えるなら、同じ件数を提供するために必要な人は少なくなる。最後の確認を少人数で担えるなら、人間の関与を残したまま制作の体制は縮小できる。

さらに、依頼する側でも同じ変化が起きる。店主が広告やサイトを作り、サービスを考えた人がUIや紹介動画まで作る。作り手同士の競争が激しくなることに加え、制作会社や専門家へ依頼せずに済ませる選択肢が広がる。

ここには、「安く作れるようになれば、需要も増える」という反論がある。予算の都合で諦めていたものを作れるようになり、これまで存在しなかった用途も生まれるだろう。この可能性は考慮する必要がある。

しかし、増えるのは何の需要なのか。

仮に、一件に必要な制作時間が十分の一になり、制作する件数が二倍になったとする。単純化した計算では、必要な制作時間の合計は以前の五分の一になる。この仮定から、一件当たりの省力化と件数の増加を合わせて考える必要があると分かる。加えて、増えた件数の一部を利用者本人がAIで作るなら、専門家が引き受ける割合はさらに小さくなる。

作ったものが使われるまでには、制作以外の条件もある。大量の広告は、見る人の限られた時間を取り合う。アプリで収入を得るには、利用者を獲得し、運営する必要がある。制作費の低下によって作れる量が増えるほど、その後に必要な費用や人手が事業の拡大を左右する。

自動化について、経済学者のダロン・アセモグルとパスカル・レストレポは、人が担っていた作業を機械やソフトウェアが引き受ける効果と、生産性の上昇や人が比較優位を持つ新しい作業の創出を分けて論じている。労働需要が増えるかどうかを、これらの効果を合わせて検討するための枠組みだ。2019年に発表された一般的な自動化の研究であり、今回のモデルやデザイン職への影響を考える際には、それぞれの業務と市場に即した検討が必要になる。Automation and New Tasks(2019)

新しい仕事が生まれる可能性もある。そこで仕事を得られるかは、発生する時期や場所、必要な能力、報酬によって変わる。産業全体で雇用が増えても、仕事を失った人が移るには、その条件に合う仕事を見つけ、必要な準備をする時間がかかる。

「何を作るか」も、顧客とAIで考えられる

制作が容易になったら、何を作るかが勝負になる。最初は、そう考えた。

しかし、顧客がAIと一緒に自身の状況を把握し、課題を整理して、いくつかの解決案を考えられるなら、企画の依頼も減る可能性がある。何を作るかを決めるところまで、顧客自身で進められるようになるからだ。

例えば、毎週の集計が負担になっている人が、自分のAIに相談したとする。AIが業務の流れを整理し、集計を自動化する道具を用意する。困りごとは解消され、その人の時間も節約される。AIの利用料を支払うとしても、既に契約しているサービスの範囲で済むこともあるだろう。以前なら業務ソフトの購入や開発会社への依頼につながっていた課題が、本人とAIだけで解決される。

以前なら外注していたことを自分で済ませられれば、支出を減らしながら同じ目的を達成できる。制作の市場が縮んでいても、利用者の生活や仕事は便利になっている可能性がある。

事業として課題の解決を提供するなら、顧客が自分で解決する場合と比べて、何を提供できるかが問われる。顧客が購入する理由まで含めて、課題を選び、解決方法を考える必要がある。

作ったものによって、何が実現するのか

宿泊客は、実際に部屋を使い、そこで過ごすために支払う。予約画面から申し込んだ後には、部屋を確保し、宿泊客を迎える提供者が必要だ。イベントの参加者が支払うのも、出演者を見たり、ほかの参加者と会ったりするためで、その場を実現するには、出演者との調整や会場の運営がある。

告知や予約の仕組みを簡単に作れるようになっても、こうしたサービスを実際に提供する仕事が、顧客の目的を実現するために必要になる。

デジタルのサービスでも同じことが考えられる。売買の場には取引したい相手が参加している必要があり、共同で使う道具には、ほかの人もそれを採用していることに意味がある。コンテンツでも、特定の作者の作品を読むことや、友人と同じ作品について話すことに価値を感じる需要があるなら、誰が作り、誰と楽しむかが購入理由になる。

こうした関係や提供能力は、支払いの理由になり得る。ただ、その提供に必要な人の数は、運営方法によって変わる。参加者を集めること、運営すること、問い合わせに対応することもAIで省力化できれば、事業は存続しても必要な人は減り得る。

責任を引き受けることを提供価値とするなら、トラブルが起きたときに実行できる対応を示す必要がある。代わりのサービスを手配する、損失を補う、相手と交渉して問題を解消するといった対応だ。それを実行するための資金や手配先も必要になる。

収入を維持できる理由にも、顧客に選ばれている場合と、顧客が移りづらい場合がある。満足して使い続ける人もいれば、データを移せず使い続ける人もいる。簡単に生成できないものを探すだけなら、囲い込みやアクセスの独占も答えに含まれてしまう。

顧客にとって取引が望ましいかは、これまでも事業を営むうえで考える必要があった。顧客が自分で作れる範囲が広がるほど、売上を維持する方法とともに、その事業者から購入する利点や顧客が負う費用・手間を、より具体的に検討する必要がある。

制作費が下がった分は、誰の利益になるのか

AIで制作費が下がったとき、会社の利益がどれだけ増えるかは、販売価格と受注件数によって変わる。

仮に、百万円で請け負っていた仕事の制作費が、AIによって大幅に下がったとする。顧客が引き続き百万円を払い、ほかの費用も変わらなければ、制作会社の利益は増える。競合が安く提供するようになれば、従来の価格には値下げの圧力がかかる。顧客が自作すれば、その案件の売上自体がなくなる。

逆に、顧客との契約や提案を担当する会社が従来の価格で受注し、実際に制作する人への発注額だけを下げられるなら、制作費の削減分は、その会社に残る可能性がある。同じ成果物に関わっていても、誰が顧客と契約し、誰が価格を決め、誰に別の取引先を選ぶ余地があるかによって、受け取る金額は異なる。

さらに、制作のために使うAIの利用料や、顧客を獲得するための費用もある。制作費が下がったことで、そのほかの費用が事業全体に占める割合は大きくなる。事業を始めるための制作費が下がっても、顧客に選ばれるまでの費用が大きければ、利益を出す難しさは残る。

この変化の中では、完成品を売っていた会社が、利用者やAIから呼び出せる機能、データ、取引の仕組みを提供するようになる可能性もある。例えば、利用者がAIで自分に合う画面を作り、そこで使う機能やデータの利用料を提供会社へ継続して支払う形が考えられる。

AIや取引の基盤を提供する企業も競争にさらされる。制作が安くなったことで生じる利益の配分は、各社の価格や契約、取引先を選べる範囲によって異なる。

利用者の支出が減るなら、利用者が恩恵を受ける。価格を維持できる会社は、利益を増やせるかもしれない。AIを提供する会社への支払いが増える場合もある。その一方で、制作時間に応じて報酬を得ていた人の収入は減るかもしれない。

自分たちが提供できる価値を、売上や利益につなげるには、その提供をどの契約で引き受け、誰と価格を決めるのかまで考える必要がある。

生産性が上がったら、働く人はどうなるのか

同じ成果を半分の時間で出せるようになったとき、会社はいくつかの対応を選べる。同じ人数でより多くの仕事をすることも、人を減らすことも、働く時間を短くすることも、新しい事業に人を配置することも考えられる。

選べる対応は、会社の状況に左右される。依頼が増えている会社なら、同じ人数で売上を伸ばせるかもしれない。価格が下がり、受注も減っている会社では、人件費を維持するための売上が足りない場合がある。新しい取り組みに人を配置するにも、その事業の見込みと、収入が生まれるまで支えられる資金が必要だ。

雇用を維持するには、売上や資金面の条件を満たす必要がある。そのうえで利益が増えた会社には、賃金、労働時間、雇用の安定にどれだけ配分するかという経営上の判断がある。

その配分によっては、AIで仕事を速く終えても、空いた時間に次の仕事が入るだけということもあり得る。会社の売上や利益は増えても、本人の賃金や労働時間は変わらない。効率化によって生まれた利益を、賃金の引き上げや労働時間の短縮にも回すかどうかが、働く人の待遇を左右する。

もっと深刻なのは、自分の仕事を省力化する努力が、自分の担当をなくす方向に使われる可能性だ。会社から見れば、効率化によって人員配置を見直すのは合理的な場合がある。しかし、その結果だけを従業員に示しながら、進んで知識を共有し、仕事を自動化してほしいと求めることには矛盾がある。合理的に行動する従業員ほど、自分の立場への影響を考えるからだ。

AI導入への協力を求めるなら、何を改善し、そこで生まれた時間や利益をどう扱うのかを、働く人も判断できる必要がある。業務の拡大に使うのか、労働時間を短くするのか、新しい役割に移る機会を設けるのか。その方針によって、本人が引き受ける変化は大きく異なる。

新しい役割への移行にも、費用がある。学習時間、収入が安定しない期間、新しい実績を作る機会が必要になる。仕事の後に自費で学び直すことを本人へ求める場合と、会社が勤務時間と費用を用意する場合では、同じ「学び直し」でも条件は違う。

学び直しを所得につなげるには、習得した能力を必要とする有償の仕事が必要だ。研修を受ける機会とともに、その能力を使う仕事へ移る機会まで検討したい。

会社の売上、利益、雇用人数、一人当たりの収入、労働時間を分けて考えると、AI導入が何を改善し、何を悪化させているかを議論しやすくなる。生産性の向上が働く人にもたらした結果を、それぞれの変化から評価できる。

価格の決め方を変えれば、収入は残るのか

制作時間が減ると、時間単価で働く人は収入を維持しにくくなる。短くなった時間を別の依頼に使えれば売上を補えるが、依頼の件数も減っていれば収入は落ち込む。

そこで、納品物や成果を単位として価格を決める方法が考えられる。検討する際には、顧客が何を購入したいのかと、その対価をどう計算するのかを合わせて考えたい。

納品物に固定の価格をつければ、省力化による差額を提供者が受け取りやすくなる。一方で、同じものを安く買ったり自作したりできるなら、その価格は比較される。固定の価格で依頼する利点が、自作や他社への発注と比べてどれほどあるかが問われる。

成果報酬の場合は、何を成果とし、誰がそれに影響するのかが問題になる。

例えば、申し込み画面を改善する仕事を、売上の増加に応じた報酬にしたとする。画面を使いやすくすることで、申し込みが増える可能性はある。しかし、同じ時期に商品価格が上がったり、広告の予算が減ったり、在庫がなくなったりすれば、売上は別の理由で変動する。

デザイナーが価格、広告、商品を決められないのに、売上全体の変動を引き受けるなら、報酬は自分の仕事以外の条件にも大きく左右される。その負担の妥当性を判断するには、報酬を左右する条件と、本人が決められる範囲を明らかにする必要がある。

成果報酬を検討するなら、少なくとも、何を測定できるのか、どのデータを共有するのか、本人がどの判断に関われるのかを対応させる必要がある。改善前と改善後を比べるだけで寄与を分離できない場合もある。報酬の確定まで時間がかかるなら、その間の生活費や運営費を誰が支えるのかも問題になる。

継続契約にも、顧客が継続して購入する理由が必要だ。運営の中で発生する変更に対応し、改善を続け、一定の応答時間を確保することに対価を払う場合はある。ただ、その対応自体を顧客とAIで済ませられるなら、毎月契約する利点は小さくなる。

事業の利益を分け合う方法も考えられる。売上が増えたときに制作側も利益を受け取れるようにすれば、時間を短縮したことだけで報酬が減る関係は変えられる。しかし、事業が失敗すれば収入を得られない可能性もある。費用を差し引いた利益を基準にするなら、どの費用を計上するかを決める側が、報酬額へ影響を与えられる。

利益を分ける提案を受ける人には、数字を確認できること、必要な意思決定に関われること、関係を終了するときの条件が分かることが重要になる。現金での報酬を減らして将来の利益へ置き換えるなら、資金に余裕のある人と、毎月の収入が必要な人とでは、引き受けられる条件も異なる。

成果への責任を大きくするなら、決められることや利益を受け取る機会も、それに対応している必要があると思う。

契約を成果中心にすることが、働く人にとってよい条件になる場合はある。ただ、会社や顧客が負っていた不確実性を、個人に移すための形式にもなり得る。契約前には、成果が出なかった場合の報酬額、入金までにかかる費用の負担者、価格や広告予算の決定に自分が関われるかを確認する必要がある。

全員が事業を持つという答えの重さ

制作を依頼される機会が減るなら、自分で事業を営めばよい。AIを使えば、これまで一人では難しかったことも実現できる。この方向には可能性がある。

デザインの経験を使って、自分たちの商品やサービスを作り、顧客へ提供する。外部の制作費を用意できなかった小さな事業でも、試せる範囲が広がるかもしれない。自分がよいと思うものを、依頼を待たずに実現できるようになる。

その場合、収入を得るためには、制作に加えて顧客の獲得や事業の運営も担うことになる。顧客を見つけ、購入してもらい、提供を続け、入金と支出を管理する。何かが起きれば対応し、売れない期間の負担も引き受ける必要がある。これらをAIで省力化できても、事業が失敗すれば、それまでに支出した費用や負債の負担が残ることがある。

制作に集中して働きたい人に、営業、経営、資金のリスクまで引き受けるよう求めるなら、それは仕事を続けるための条件を大きく変えることになる。技術を学び直すことより、生活への影響が大きい場合もある。

会社に所属して働くことには、顧客獲得、経営、資金管理と制作を分担できる意味があった。個々の案件が売れたかどうかと毎月の賃金をある程度切り離し、組織の中で専門性を使って働けた。制作の需要が減る中でも、こうした役割分担は、個人が専門性を使って働くための条件になる。

一人で全てを引き受ける以外にも、少人数のチームで商品やサービスを提供し、営業や運営を分担する形は考えられる。会社に所属しながら事業の改善へ関わる働き方もある。その際、誰が意思決定に参加し、誰が固定の報酬を受け取り、どの利益と損失を共有するのかを決める必要がある。

小さなチームで利益を出せる事業が増える一方で、業界全体では制作職の人数が減ることもあり得る。個人や一社が生き残る方法に加えて、そこで仕事を得られなかった人が生活を成り立たせる条件も考える必要がある。

新しい仕事へ移るには、学習のための時間と、収入が途切れる期間を支える資金が必要になる。制作の価格が下がる一方で、住居など生活に必要な支出が維持されれば、その負担は大きい。これを個人、会社、社会でどう分担するのかという問題が生じる。

どのような仕組みが適切かは、誰の仕事がどの程度減り、どこに新たな需要が生じるかによって異なる。仕事が減った人へAIの習得を求めるなら、その学習と移行の費用を誰が負担するかも検討したい。習得した能力を使って収入を得られる仕事があるかまで、問題に含める必要がある。

作れることと、生活できることをつなぐ

現在の仕事がどれほど残るかは、顧客の需要やAIの進歩によって変わる。その中で、何を買い、誰を雇い、どのような条件で仕事を頼み、そこで生まれた利益をどう分けるかは、私たちが関わる判断だ。事業や雇用の条件を見直すことで、働く人が受け取る利益や負うリスクには、影響を与えられる。

作ることがこれほど容易になるなら、その能力を手にした人が、どのように生活を成り立たせられるのかまで考えたい。Astraとimage2.5の登場をきっかけに、作る技術とともに、仕事の頼み方や利益の分け方も見直す必要を強く感じている。